適格退職年金の処理と他の積立制度(移行先)について

【1】解約
適格退職年金を解約すると従業員本人にその持分が直接振り込まれ、一時所得課税の問題が発生します。適年の積立額、他の積立制度の有無、社内の年齢構成等を総合的に勘案して解約の判断をします。
適年の資産が少ない場合など、一時所得の問題を余り気にしなくても良い場合には解約も選択肢の1つといえるでしょう。新規加入で中退共に加入すれば、掛け金助成制度も活用できます。
なお、適年を解約する場合に重要なことは、解約と同時に社員に直接振り込まれる分配額は、将来の退職金の一部前払いである旨をよく説明し、個別に同意書などを取っておく必要があります。
【2】規約型企業年金への移行
適格退職年金の受皿として、形の上では最も自然で有力な規約型企業年金ですが、実務上はこの制度に移行する事例はほとんどありません。通常は積立不足の追加拠出で大幅に掛金が増大します。また、解約をするのにも従業員の同意がいるなど、企業にとって大きな負担になる可能性が高いからです。従って、生命保険会社各社も規約型は一切勧めておりません。従業員100名未満では、規約型は引き受けも難しいようです。
【3】確定拠出年金への移行
確定拠出年金への移行は退職給付債務問題を抱える大企業においては有力も、中小企業の場合は60歳時点まで引き出しができないというデメリットが大きく、現時点では選択し難い制度といえます。また、社員に対して十分な投資教育が行えるのかという疑問も残ります。
【4】中退共への移行
中小企業の場合は、適年の持分を中退共に引き渡すプランが最有力です。特に2005年4月から引継額上限(120ヶ月)が撤廃され、適年の積立資産の全額を中退共に引き渡すことができるようになりました。今後は、適年資産の大きな老舗企業でもこの方式の採用が急増することでしょう。
【適年から中退共への移行イメージ】

【適年から中退共への移行手順】
| 期間 | 実施内容 |
| 1ヵ月程度 |
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| 2ヶ月程度 |
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| 3ヶ月〜4ヶ月程度 |
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| 5ヶ月程度 |
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【5】適年解約 → 生命保険商品の活用
退職金用資金の積立てに使える主な生命保険商品は次のとおりです。
- 養老保険
- 定期保険(長期平準定期保険等)
これらは本来退職金というよりも福利厚生に使うべき保険ですが、退職金用原資としても活用できます。以下に保険商品を退職金の積立てに活用した場合の特徴を述べます。
- 損金性がある(商品によって掛金の半分または全額が損金になる)。
ただし、養老保険等は原則として全員加入。そうすると半分損金などの処理ができる。 - 一応記名式であるが、運用はかなり自由度が高く、積立金をグロスで調整できる。
つまり、退職金が必要なときは、その人の積立て分以外に他の人のものも一緒に解約して資金を作ることができる。 - 退職金を支払いたいときは解約をして、会社へ解約金をもらう。それを退職金源資とする。つまり、中小企業のトップが悔しがる頭越しの退職金支給はこれで回避できる。さらに退職金を支払う時点でいくらでも調整できるという会社側にとっては大きなメリットがある(特に規程がない会社はこれが有利)。
- 退職金の積立てとして規制されている訳ではないため、解約は自由であるし、それを運転資金にも使うことができる。
- 役員の分も一緒に積立てができる。
- 当然、保険であるため補償がつく。つまり福利厚生も兼ねることになる。
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