従業員に残業代を支払わなかったとして労働基準監督署から是正指導を受け、結果的に1社で100万円以上の未払い残業代を支払った企業の数が2007年度に1,728社(前年度比約3%増)となり、厚生労働省が集計を開始した2001年度以来、最多を更新したことが明らかになりました。また、支払総額も計272億4,261万円(同約20%増)となっており、同じく過去最高を更新しています。
同省では、「労働者やその家族の方などから、各労働局、労働基準監督署に対して長時間労働、賃金不払残業に関する相談が多数寄せられており、これらに対して重点的に監督指導を実施した結果である」と分析しています。
このようにサービス残業は依然として増加傾向にあるようで、最近では「名ばかり管理職」「偽装請負」に関する問題などもあり、労働者や退職者が未払い残業代の支払いや地位の確認などを求めて労働審判や民事訴訟などを提起するケースも増えています。
障害者を雇った経験のない中小企業に第一歩を踏み出してもらおうと、厚生労働省は障害者を初めて雇った中小企業に100万円を支給する「ファースト・ステップ奨励金」を創設することを決めた。早ければ本年度内に導入する。
障害者雇用促進法では、従業員56人以上の企業は1・8%以上、障害者を雇うことが義務付けられている。厚労省によると、昨年6月時点で法定率に達していない中小企業は約3万3000社。そのうち、障害者を1人も雇っていない企業が約2万5000社と、4分の3を占める。奨励金の創設で雇用のすそ野を広げる狙いだ。
奨励金の対象は56人以上300人以下の企業。人数にかかわらず一律100万円で、支給は1回限り。車いす用のスロープ設置や援助者の配置など、使途は限定していない。厚労省は事業費として約7億5000万円を見込んでいる。
厚労省はこのほか、障害者雇用に特別の配慮をした「特例子会社」や「重度障害者多数雇用事業所」を設立した企業に、新たに助成金を支給する方針。今後3年間限定で、10人以上の障害者を雇って特例子会社などを設立した場合に、4000万円を助成する。
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障害者の初雇用に奨励金支給!!
◆なくならないサービス残業
サービス残業があったとして2006年度に労働基準監督署から是正指導を受け、支払額が合計100万円以上となった企業は1,679社に上り、対象労働者数は182,561人となっています。支払われた残業代は総額で227億円1,485万円(企業平均1,353万円、労働者平均12万円)です。
◆指針パンフレットをホームページに掲載
サービス残業を放置することは、内部告発等をきかっけに労働基準監督署の是正指導等を受け、不払賃金を支払わなければならないリスクを抱えていることになります。
厚生労働省は、「賃金不払残業の解消を図るために講ずべき措置等に関する指針」(2003年5月策定)について、よりわかりやすく解説したパンフレットのホームページへの掲載を10月から開始しました。同指針は、賃金不払い残業(サービス残業)は重大な労働基準法違反であるとの考えのもと、「労働時間の適正な把握のために使用者が講ずべき措置等に加え、各企業における労使が労働時間の管理の適正化と賃金不払残業の解消のために講ずべき事項を示」すことを目的としています。
厚生労働省指針
◆管理監督者の範囲の明確化
厚生労働省は、「名ばかり管理職」問題を解決するため、労働基準法上の管理監督者に該当するかどうかの判断基準を示した「多店舗展開する小売業、飲食業等の店舗における管理監督者の範囲の適正化について」(平成20年9月9日付け基発第0909001号)と題する通達を、9月9日に出しました。この通達が出された背景には、店長に対する残業代支払いを大手外食チェーン等に命じる判決が相次ぐ中、裁判例を参考に法律の運用を見直す必要に迫られたことがある。
◆9月9日付け通達の内容は?
上記の通達では、多店舗展開する小売業や飲食業を対象に、管理監督者性を否定する重要な要素を挙げています。具体的には、(1)アルバイト・パート等の採用に責任がないこと、(2)部下の人事考課が職務内容に含まれないこと、(3)遅刻や早退の際には減給等の不利益な取扱いをされること、(4)賃金額が当該企業の他の一般労働者の賃金総額と同程度以下であること、といった項目が列挙されています。
◆通達のより正確な理解のために
しかし、上記通達については、連合と日本労働弁護団が「管理監督者の基準の緩和につながりかねない」として同省に見直しを要請していた。そこで、業界団体等が誤った解釈をしないよう、厚生労働省は10月3日に新たに「多店舗展開する小売業、飲食業等の店舗における管理監督者の範囲の適正化を図るための周知等に当たって留意すべき事項について」(平成20年10月3日付け基監発第1003001号)を出しました。
この通達では、9月9日付けの通達の趣旨・内容が正確に理解されるように懇切丁寧な説明を行うよう求めており、次のポイントを指摘しています。
(1)店舗の店長等について、管理監督者の範囲の適正化を図る目的で発出されたものであること
(2)昭和22年9月13日付け通達で示された管理監督者の基本的な判断基準を変更したり緩めたりしたものではないこと
(3)判断要素は否定的な要素を整理したものであり、これらにひとつでも該当する場合には、管理監督者に該当しない可能性が大きいと考えられること
(4)通達に該当しない場合は、実態を踏まえ、慎重に判断すべきものであること
また、同省ホームページ上では9月9日付け通達に関するQ&Aも公開されました。通達の説明や周知徹底のために再度念が押されるということは、「名ばかり管理職」問題に対して国が本気で対応し始めたことの表れと言えるでしょう。企業では、この問題に対して速やかな対応策を取ることが求められます。
厚生労働省Q%A
◆「政管健保」から「協会けんぽ」へ
現在、主に中小企業の従業員やその家族など約1,990万人が加入している「政府管掌健康保険」は国によって運営されていますが、今年の10月1日からは、国から独立した新たな健康保険として発足する「全国健康保険協会」(通称:協会けんぽ)が運営を引き継ぐことになっています。協会けんぽは、「非公務員型」の法人として新設される機関であり、そこで働く職員は公務員ではなく民間の職員となります。理事長や各都道府県における支部長なども民間から登用され、「民間のノウハウを積極的に採り入れていく」そうです。
◆新たな保険証への切替え
政府管掌健康保険に加入していた人は、10月1日以降、順次、新たな被保険者証(保険証)に切り替えられます。保険証の切替手続は会社を通じて行われますが、任意継続被保険者の人には直接自宅に保険証が郵送されます。10月以降に新たに協会けんぽに加入する人や保険証の再交付の手続きをした人には、新たな保険証が発行されます。
なお、保険証の切替えが完了するまでの間は、従来の保険証も引き続き医療機関等で使用することができます。
◆保険料は都道府県ごとに設定
健康保険の保険料率は、9月30日までの政府管掌健康保険の保険料率(8.2%)が適用されます。しかし、協会けんぽの設立後1年以内に、都道府県ごとに、地域の医療費が反映された保険料率が設定されることとなっています。都道府県単位の保険料率は、年齢構成や所得水準に応じて、都道府県間で調整を行ったうえで設定されるようです。都道府県別の保険料率への移行にあたっては、大幅に上昇する場合には「激変緩和措置」が講じられることになっています。
